「葡萄が目にしみる」原稿
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小説「葡萄(ぶどう)が目にしみる」は、林真理子さんが小説を発表し始めた頃の初期の作品です。出身地の山梨を舞台に、葡萄農家に生まれた主人公・乃里子の高校生活を描いています。そこには、高校生の素朴さ、恥、失敗なども含めた青春時代へのあたたかい視点があります。また、『葡萄が目にしみる』では、山梨の風土や独特の生活習慣が、ユーモラスに描かれています。
―なにも考えなくていいのだ、と乃里子は思った。このまま勉強したり、保坂に恋をしたりしているうちに高校時代はすぎていくはずだ。そして東京に行けばいい。東京の大学生になったら、すべて忘れてしまおう。ほこりっぽいセーラー服を着た少女だったことや、葡萄のジベ液で手を桃色に染めたこと、その他ぜんぶ、たくさんのこと。―「葡萄が目にしみる」のこの一節は、高校卒業後、上京した林さん自身の体験に基づくものですが、林さんにとって高校時代は忘れ去られるわけではなく、かえって小説というかたちで再現されることになりました。

林真理子の著書
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山梨県立文学館では、林さんのように現在活躍中の作家の資料も収蔵しています。林さんの「葡萄が目にしみる」などの直筆原稿や多数の著書があります。
林さんは、コピーライターとして活躍中に、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』がベストセラーとなり、一躍脚光をあびます。その後、小説を発表し、1986年に「最終便に間に合えば」「京都まで」で直木賞を受賞します。
林さんは、恋愛小説や週刊誌のエッセイで幅広い読者を得ています。また、「ミカドの淑女(おんな)」「白蓮(びゃくれん)れんれん」など歴史上の女性を描いた評伝や、「幸福御礼(おんれい)」「素晴らしき家族旅行」といった現代社会や家族をテーマに鋭い切り口で描いた作品もあります。巧みな語り口と旺盛(おうせい)な執筆(しっぴつ)力で、小説家としてまさに第一線で活躍しています。
林さんは、小説やエッセイに故郷の山梨のことをたくさん書いていますので、みなさんも探してみてください。
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