山梨県都留市生まれの壇一雄と、御坂峠・甲府で安定した一時期を過ごした太宰治。
文学への情熱をぶつけ合い、酒を酌み交わした青春期を経て、2人はそれぞれの生活と作品世界を形作ってゆく。太宰は壇を生涯の友人と呼び、壇は太宰歿後も旧友について語り続けた。戦中戦後の混乱を生きる人々の心をつかみ、今も幅広い読者に読み継がれる作品を残した太宰と壇。その生涯と交友、作品世界を軸にし、ともに無頼派と呼ばれた坂口安吾・田中英光、2人の師であった井伏鱒二・佐藤春夫らにも視野を広げ、昭和および戦後文学の一局面を展観する。