田中冬二(1894~1980)の詩には、なつかしい日本の風景や人々の暮らしの記憶が、やさしく清澄な言葉でうたわれています。銀行員として、島根・大阪・長野・郡山・東京など各地に勤務しながら詩作を続け、第一詩集『青い夜道』以降、生涯に十八冊の詩集を刊行し、句集・随筆集・詩文集にも多くの著書があります。 山梨は長野とならんで、「好きな県」のひとつ。早川町の奈良田、富士山麓、八ヶ岳南麓、甲府などを訪れ、「川口村」「本栖村」「塩川の谿」「山郷」「甲府にて」「富士ビューホテル」など数多くの詩を残しています。冬二直筆の原稿・草稿・ノート、書画、書簡などと共に、その作品の魅力を紹介します。