甲府で新婚生活を始めたばかりの太宰が、友人に送った励ましの手紙を是非ご覧ください。
太宰治 高田英之助宛書簡(部分) 1939(昭和14)年1月31日(推定)
○展示資料について
太宰治 高田英之助宛書簡 1939(昭和14)年1月31日(推定)
・『太宰治全集』(1998~1999 筑摩書房)に未収録で、初めて公開される新出資料です。
・縦19,5㎝、横116,5㎝の巻紙に、インクで135行(1行20字前後)が書かれた長い手紙です。
・太宰 治(1909~1948 青森県生まれ)は、1938年9月から山梨に滞在し、翌年1月に結婚、甲府で8ヶ月間の新婚生活を送りました。封筒はありませんが、内容等から、新婚生活を始めた甲府市御崎町(現在の朝日5丁目)の借家から出されたものと思われます。この時期の太宰は、心身ともに安定し、「富嶽百景」などの優れた作品を発表しています。
○太宰治(だざい おさむ)と高田英之助(たかだ えいのすけ)について
高田英之助(1911~1991 広島県生まれ)は、太宰と同じく井伏鱒二(いぶせ ますじ)に師事し太宰の結婚の手助けをした人物。毎日新聞甲府支局に記者として赴任し、甲府で知り合った斎藤須美子と結婚しました。しかし、この書簡の頃は、甲府に須美子を残し、大島で病気療養をしていました。太宰は、二人を気の毒に思い、早く一緒に暮らせるようにと励ましました。
書簡では「結婚は、からだに悪いといふのはどうも嘘のやうです。私は、結婚して、顔色もよくなり、食欲大いにすすみ、また、ふとつた。僕もからだは、君と同じで、微熱の恐怖大いにあつたのだが、結婚してみて、その不安、全く解消いたしました」とみずからの充実した結婚生活の様子を伝え、高田の兄の百箇日が済んだら、一日も早く須美子を迎えに来るよう、諭しています。
○開催概要
〈特別展示〉甲府発の太宰治書簡 初公開
会 場:山梨県立文学館 2F 展示室C
会 期:2020(令和2)年7月18日(土)~8月23日(日)
休 館 日:8月10日を除く月曜日
開館時間:午前9時~午後5時(入室は午後4時30分まで)
観 覧 料:常設展観覧料でご覧になれます。