展覧会


展覧会情報

特設展
時空を旅する作家
辻邦生展 生誕100年
2025年4月26日(土)~6月22日(日)

開催概要

 作家・辻邦生(1925~1999)は、小説の舞台となる場所を自らの足で訪れ、その時代の膨大な歴史資料を読み込み、小説の執筆にあたりました。作者自身も時空を超えて旅をしながら、小説に古今東西の世界を再現しました。古代ローマを舞台にした「背教者ユリアヌス」、ルネサンス期フィレンツェのボッティチェルリを描いた「春の戴冠たいかん 」、山梨県笛吹市春日居町国府こうの父祖の地を探求した「銀杏散りやまず」、平安末期の歌人・西行をゆかりの人の多彩な声で語る「西行花伝」などの代表作とともに、その生涯をたどります。

 

 

学習院大学史料館の玄関前にて  1992(平成4)年 撮影 田沼武能

 

辻 邦生(1925~1999)

 東京生まれ。旧制松本高等学校、東京大学文学部仏文科、同大学院を経て、フランスに留学。のち学習院大学においてフランス文学を講じた。初めての長編小説「廻廊にて」により第4回近代文学賞を受賞し、文壇に登場。1968(昭和43)年から1971年にかけて歴史を材にした「安土往還記」「天草の雅歌」「嵯峨野明月記」などを執筆。「安土往還記」により芸術選奨新人賞を受賞。1969年7月からは、古代ローマを舞台にした「背教者ユリアヌス」を、文芸雑誌「海」創刊号から連載、のちに毎日芸術賞を受賞した。
 その後も、ルネサンス期フィレンツェの隆盛と没落を描いた「春の戴冠」、フランス革命を描いた「フーシェ革命暦」など、ヨーロッパを舞台とする長編を次々と発表。生涯にわたり、緻密な構成と巧みな語りにより古今東西の歴史に材をとった物語を執筆し、殊に時代の転換期を生きる主人公を生き生きと描き出した。
 辻家の祖先は、現在の笛吹市春日居町国府に代々辻保順医院を経営する医家であったが、祖父歿後に一家は上京し、父・靖剛はジャーナリスト、薩摩琵琶の奏者として一家をなした。1989年の父の死をきっかけに、辻邦生は父祖の地を探求し、小説「銀杏散りやまず」を執筆した。

 

 

【名称】特設展 時空を旅する作家 辻邦生展 生誕100年

【会場】山梨県立文学館 展示室C

【会期】2025年4月26日(土)~6月22日(日)

【休館日】月曜日(4月28日、5月5日は開館)、5月7日(水)

【開館時間】展示室 9:00~17:00(入室は16:30まで)

      閲覧室 9:00~19:00(土・日・祝日は18:00まで)

【観覧料】常設展観覧料でご覧いただけます

 一般 330円(260円) 大学生 220円(170円)

 ※()内は20名以上の団体料金・県内宿泊者割引料金です。

 ※高校生以下の児童・生徒、65歳以上の方、障害者手帳を

  ご持参の方、およびその介護をされる方は無料です。

 

 ※下記リンクより、展覧会のチラシ(PDF)をダウンロードできます。

おもな展示資料

辻邦生 北杜夫宛はがき 1956(昭和31)年4月16日

 北杜夫(1927~2011 小説家)は旧制松本高等学校時代からの友人で、当時、山梨県立精神病院に医師として勤務し、多忙を極めていた。

 

 

辻邦生『西行花伝』私家本 1997(平成9)年6月
装丁・木口木版画口絵 柄澤齊 製本 大家利夫

 表紙には甲州印伝があしらわれている。

 

 いずれも学習院大学史料館蔵

 


 

辻邦生 生誕100年記念事業

 学習院大学史料館では、辻邦生より寄贈された自筆原稿、創作ノート、書簡など、多数の資料を収蔵しています。学習院大学史料館の協力により、辻邦生ゆかりの地で次のとおり生誕100年を記念した展示が行われます。各館それぞれのテーマに合わせて、学習院大学史料館の資料が出品される予定です。

山梨県立文学館           2025年4月26日(土)~6月22日(日)
軽井沢高原文庫           2025年7月19日(土)~10月13日(月)
旧制高等学校記念館(松本市)    2025年9月23日(火)~11月30日(日)
笛吹市春日居郷土館・小川正子記念館 2025年10月29日(水)~11月20日(木)
清須市はるひ美術館         2025年12月13日(土)~2026年2月23日(月)
学習院大学史料館(霞会館記念学習院ミュージアム)2026年4月~7月

 


 

関連イベント

◇公演会「琵琶と声明による 西行花伝 聲の帖」

【日時】6月8日(日) 15:30~17:00予定
【会場】講堂 定員500名
※無料。電話または下記ページの申込みフォームからお申込みください。
 先着順で定員になり次第締切となります。
※公演会当日、辻邦生展をご覧になる方は、開演前にご観覧ください。

◇講座(年間文学講座2)「私の出会った作家たち 創作の現場に立ち会う」
辻邦生と北杜夫 作家の友情-旧制高校生の教養

【日時】5月29日(木) 14:00~15:30
【講師】前田 速夫(「新潮」元編集長)
【会場】研修室 定員70名
※無料。4月22日(火)よりお電話にてお申し込みください。

 

 

◇講座(年間文学講座3)「作家と作品」
辻邦生作品の魅力-「銀杏散りやまず」「西行花伝」を中心に

【日時】5月18日(日) 14:00~15:10
【講師】中野 和子(当館学芸員)
【会場】研修室 定員70名
※無料。4月22日(火)よりお電話にてお申し込みください。

 


 

閲覧室資料紹介

◇「辻邦生を読む」

4月25日(金)~6月22日(日)
【場所】1階閲覧室 ※入場無料
資料は手にとってご覧いただけます。