2023年度から2024年度にかけて、新たに収蔵した資料の中から、作家の直筆原稿や手紙、掛け軸や短冊などの書画を展示します。執筆時の推敲の跡が見える原稿、個性豊かな筆跡が楽しめる書画、文学者の交友の様子が垣間見られる書簡などを紹介します。
1907(明治40)年、自然主義文学の隆盛期に小説「少年行(しょうねんこう)」で文壇に登場した中村星湖(なかむら せいこ 1884~1974)の生涯と作品を取り上げます。当館においては1994(平成6)年の企画展以来、30年ぶりの展覧会です。改めて明治、大正、昭和を生きた郷土の文学者が残した仕事を紹介します。
文学作品や作家たちのエピソードには、印象的な食の場面が登場します。芥川龍之介が夢中になった甲州葡萄、スープ皿に映った富士山を詩にした田中冬二、飯田龍太が贈った甲州の山女魚を絵にした井伏鱒二......。作家の食へのこだわりをさぐると、好き嫌いがあったり、思い出の食べ物があったり......。本展では、文学のなかのおいしいシーンを、直筆資料とともに紹介します。
金子兜太(かねこ とうた、1919~2018 埼玉県小川町生まれ)は、太平洋戦争での従軍体験を経て、戦後の社会性俳句、前衛俳句運動を担う若手俳人として注目を集めました。以後、昭和・平成の俳壇に大きな足跡を残し、歿後6年を経た今も影響力を与え続けています。代表句「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)どれも腹出し秩父の子」「彎曲し火傷(かしょう)し爆心地のマラソン」をはじめとする作品、飯田龍太ら同時代の俳人や文学者との交流、俳人の枠をこえた幅広い活動の様子を取り上げます。
冬の常設展では、生誕110年を迎える歌人・山崎方代(1914~1985)の選りすぐりの短歌12首を直筆資料により展示します。
「選んでみよう!方代さんのうた」のパネルにより、観覧していただく皆様に、紹介する短歌の中からお好きな一首を、お選びいただきます。
令和7年春は、生誕140年を迎える俳人の飯田蛇笏を取り上げます。
第4室「飯田蛇笏・飯田龍太記念室」の資料とあわせて、蛇笏の生涯を知り、その俳句の世界に親しんでいただけるよう、選りすぐりの資料を展示します。
樋口一葉の次兄虎之助の薩摩焼花瓶と一葉の小説「うもれ木」関連資料を展示中!
一葉の6歳年上の兄樋口虎之助(ひぐち とらのすけ1866~1925)は、15歳で陶工の成瀬誠志(なるせ せいし)に弟子入りし、修行の末、薩摩焼の絵付師として活動しました。
一葉が1892(明治25)年に発表した小説「うもれ木」は、虎之助に取材をして書き上げた小説で、薩摩焼の絵付師入江籟三 (いりえ らいぞう)と妹お蝶が登場します。
細密描写が際立つ虎之助の作品と一葉直筆の小説「うもれ木」関連資料をご覧ください。
秋の常設展では、田中冬二(詩人 1894~1980 本名吉之助)と山梨との関わりをテーマに展示します。
冬二は、なつかしい日本の風景や人々の暮らしを愛した詩人です。銀行員として勤める一方、日本各地を旅し、なかでも山梨は長野と並んで好きな県の一つとしてたびたび訪れ、多くの詩を残しました。
今回は、富士北麓の村々を描いた詩「河口村」草稿と「本栖村」色紙、奈良田を舞台にした詩「山郷」草稿、増富温泉と西山温泉を訪れた際の紀行文「山峡二景」草稿(後に「山峡の湯」として串田孫一編『忘れえぬ山』に所収)などを展示します。
夏の常設展では、俳人・高浜虚子(1874~1959)の資料を展示します。
春の常設展では、深沢七郎(1914~1987 小説家 山梨県笛吹市生まれ)の生誕110年を記念した展示を行います。